LangChain のthreshold(しきい値)とは|ベクトル検索における「信用のボーダーライン」設計
作成日:2025-05-31
更新日:2025-05-31

「しきい値」とは
「ユーザーの質問」と「資料から得たテキスト(チャンク)」との類似度スコア(cosine類似度)が、設定された数値より高ければOK、それ以下なら無視する。
この基準となる数値が しきい値(threshold)や。
類似度スコア(cosine類似度)とは
- ユーザーの質問と資料の文章の「意味の近さ」を、cosine類似度(-1〜1)で表した数値やで。
- 1に近いほど似てて、0に近いほど似てない。
しきい値が高いと?低いと?
設定 | 内容 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
高い(例:0.8) | 厳選モード | 精度が高くなる | 該当なしで沈黙することも |
低い(例:0.3) | ゆるゆるモード | 関連情報は拾いやすい | 関係ない情報まで混ざることも |
しきい値はどこで使うの?
- ユーザーの質問に対して、どのチャンク(テキストのかたまり)を参考にして回答を作るか を選ぶとき
similarity_search()
やsimilarity_search_with_score()
などで、どのチャンクを参考にするか選ぶとき。- LangChainでこう使う:
docs = vectorstore.similarity_search_with_score(
query="月の起源は?",
score_threshold=0.75,
k=5
)
しきい値の設計とは?
なんで大事なん?
「どこまでを“意味が近い”と見なすか」の設計そのもの。
つまり、“どんな根拠をもとに回答するか”という信頼性の調整ダイヤルやねん。
信頼性を調整する
「どれくらい意味が近かったら、そのチャンクを信用してええか?」
を決める“フィルターの強さ”やねん。
- 高いしきい値(例:0.8)→ 厳選!関係ありすぎるやつだけ通す
- 低いしきい値(例:0.3)→ ゆるゆる!ちょっと似てたら通す
なにに影響する?
- 回答の正確さ
- 回答の有無
- 誤情報を拾う危険性
OpenAI
との関係
threshold
は LangChainの機能。OpenAIではない!
- OpenAIはベクトルくれるだけ
- 選ぶ基準はLangChainが担当!
要素 | 提供元 | 役割 |
---|---|---|
OpenAI | OpenAI社 | テキスト → ベクトル化(embedding)だけ |
FAISS | Meta社 | ベクトルの類似検索をするエンジン |
LangChain | LangChain社 | embedding・検索・しきい値設定をつないでくれるラッパー |
OpenAI API(ChatGPTとか)
- Embedding(埋め込みベクトル)を出してくれるだけ。
- たとえば
text-embedding-ada-002
でベクトルが得られる。 - 類似度の計算やしきい値の制御はしてくれへん。
LangChain
- ベクトル検索(FAISSとか)で、
- 類似度を計算(cosine similarity)
score_threshold=
みたいにしきい値を自分で設定できる。
- これは
similarity_search_with_score(threshold=0.7)
とかの形で使う。
まとめ|しきい値ってどこで使うん?
LangChainの検索フェーズで、どこまでを“類似”と見なすかの基準やで!
OpenAIとLangChainのつなぎ方
- OpenAI で「テキスト」→「ベクトル」に変換(埋め込み)
- LangChain 経由でそのベクトルを FAISS に保存
- ユーザーの質問をまたベクトル化して、FAISS で類似ベクトルを検索!
もし OpenAI
単体で使うなら、自分で類似度計算して、しきい値チェックも手動でやらなあかんのや。
まとめ
しきい値は「答えの信用ライン」。
設計者がコントロールする、賢さと柔らかさの境界線やで!
ベクトル検索では「意味が近いかどうか」を数値で表現する。
その数値が「このくらい以上なら使ってええで」というボーダーライン=閾値や。
閾値が高すぎるとスルーされ、低すぎると関係ない情報まで拾ってまう。
つまり、しきい値は「信用できる根拠ラインの設計」そのものや。
設計者の“答えの厳しさ”を決めるスライダーみたいなもんやで。
補足:しきい値とは、文字通り「敷居」のこと
しきい値って、「閾値」って難しい漢字になってるけど、実は「敷居」のこと。
「敷居をまたぐ値」って意味やで。
またいだら“使える”、またげへんかったら“無視”。
2025-05-31
編集後記:
この記事の内容がベストではないかもしれません。
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